令和3年10月13日(水)、2年生対象の「グローバル・スタディースⅠ」では、愛媛大学法文学部の 三上了 先生を講師に迎え、「国際協力論」をテーマに「その援助に効果はあるか」というタイトルで遠隔講義を受けました。
開発援助のきっかけは善意ですが、優れた先進国が途上国を発展させるといった途上国の人々に対する蔑視があり、押し付け(paternalism)ともいえます。この開発援助が、現地で効果があるかどうかは検証されてきませんでした。そこで、2019年のノーベル経済学賞受賞者の一人でマサチューセッツ工科大学のEsther Duflo氏によるRCT(ランダム比較試験)による検証が行われました。
RCTは、一つの支援を2つの形式に無作為に分け、一方には援助を行うがもう一方には行わないことで、その差を検証するものです。この方式の優れている点は、従来の統計的方法や重回帰分析では困難なことでも、援助の優位性を見いだすことができることです。RCTの導入により、有効な援助と無効な援助を見極めることができるようになり、ワクチン接種の効果的援助、ラップトップコンピューターの300万台配布、コミュニティー開発プログラムの検証、性感染予防に現金を支給する場合、等にとどまらず、費用対効果についても判別し、最も効率的な援助に資金を集中させることができました。
アフリカ全体が援助によって発展したかというような問題では、事象が大きすぎるため検証が非常に難しいものです。しかし、小さな事象であれば、非常に容易です。一見大きすぎる問題も、細分化しRCTで検証することによって、その効果が目に見えてわかるようになります。その方法を2年生の各クラスに当てはめて、検証する方法が示されました。
難しい内容ではありましたが、生徒たちにとって世界の問題を考える大切な時間となりました。
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