MENU閉じる

News & Topics

2022/01/12

グローバル・スタディーズⅠ「工学で生物多様性を保全する―グローバルな現状と地域河川での取り組み―」

令和4年1月12日(水)のグローバル・スタディーズⅠは、愛媛大学工学部の三宅洋先生に「工学で生物多様性を保全する―グローバルな現状と地域河川での取り組み―」というテーマで講義をしていただきました。
先生の、人間にとって「いい川」とはどのような川か?との問いかけに、「定期的に洪水を起こしてくれる川」や、「おいしい魚が取れる川」、と生徒たちは答えていました。どのような川が良い川かは立場によって異なり、子供には「親水性の高い河川」、川漁師には「生産性の高い河川」、川釣り師には「娯楽性の高い河川」、芸術家には「題材性の高い河川」、農家には「利便性の高い河川」、川のほとりに住む人には「安全性の高い河川」などそれぞれです。また、河川による利益(生態系サービス)には①供給サービス、②調整サービス、③文化サービス、④基盤サービスがあり、不利益には洪水(生命・財産の損失)や移動の阻害(交通渋滞)などがあり、生態系サービスにはいろいろな生物がいること(生物多様性)により支えられています。
生物多様性には①生態系の多様性、②種多様性、③遺伝的多様性の3つの階層がありますが、人間活動により未だかつてないスピードで種の絶滅が進行しています。生態系サービスが低下することにより人類の存続が危うくなる可能性があるため、それを防ぐために生物多様性の保全が必要です。
特に、面積で0.8%ほどしかない河川には全体の6%の種が生息しています。アメリカでは淡水(関連)生物の多くが絶滅の危機にあり、それは人間活動の影響が河川に集積していることを意味しています。先生から「河川生態系の種多様性を低下させる主な原因にはどのようなものがあるだろうか?」と質問され、工業・農業廃水など人間が原因による汚染、気候変動や地球温暖化による水温上昇での生態系喪失、人間の乱獲による魚の減少など生徒たちは回答していました。いい川が失われるのは、生息場所改変、外来種の侵入、汚染物質、乱獲、気候変動などグローバルからローカルまで様々な人為要因のためです。複雑で良好な環境では多様性が高く、単純で劣悪な環境では多様性は低い。現在は、河川における多様性復元の取組が世界各地で試行錯誤されています。
最後に、地球規模の生物多様性を保全し、生態系サービスを存続させ人類を存続させるためには①知見を集めること(基礎的(理学部的))、②技術を開発すること(工学的(工学部的))の両方が世界各地で行われていると講義を締めくくられました。

 

  • 14.海の豊かさを守ろう
  • 15.陸の豊かさも守ろう
  • 4.質の⾼い教育をみんなに

コメントを投稿する

コメントを投稿するにはログインしてください。

Page Top